日常をまったり紡ぐ近未来的日記..紅子の世界全壊です!       週末はオリジナルラノベの更新もしています


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恋するメドゥサ -エピローグ-
恋するメドゥサ -エピローグ-
 
 
【エピローグ】

 ■六月三日(日)

 あれから一週間。新歓祭は来週の金曜まで順延となった。
 
 学校も慌しさが抜け始め、徐々に平穏な日々に戻りつつある。
 数日間、騒ぎに騒いだワイドショーも既にメインは別の事件。
 怪我人もなく、犯人も逮捕された状態では、盛り上がりに欠けるのだろう。
 
 お昼を過ぎた頃、永原 千博の墓前で制服姿の四人が合わせていた手を静かに解いた。
 
「なんかアレだな。こうやってみんなで墓参りってのは変な感じだよな」
 
 重い空気を破ったのは司だった。
 ロールケーキを供えながら、そんな事を口にする。
 
 墓石の周囲は雑草も抜かれ、四月の末に司が来た頃と変わらず手入れが行き届いている。
 
「私も最近来てなかったし」
「ガキの頃に数回会ったくらいだろ。マメに来る方がおかしいって」
 
 なんとなく居心地の悪そうな志穂に、司が呆れたように告げる。
 
「姫堂先輩や菜留に至っては面識すらないんだし。来てもらった方が悪いって感じだよ」
「そんなことはない。こうして手を合わせて、ようやくあの事件も解決したと思える」
 
 沙々子の言葉に菜留が頷いた。
 
「僕としては会ってみたかったな。なんたって司の初恋の人なんだから」
「おい、菜留。変なこと言うなって」
「っていうか、未だに片想い中だったりすんのよね」
「こら、志穂! 余計なこと言うんじゃねえ」
「素敵な話じゃないか。人を想うのはとても純粋なことだ」
「勘弁してくださいよ。キャラに合ってないのは認めますから」
 
 他愛ない冗談で笑い合った。
 
「でも、姫堂先輩。ちょっと考えるんすよ。俺だったら秀直さんを止められたんじゃないかなって。もっと気をつけていれば、あんなことをする前に」
「無理だな」
 
 沙々子があっさりと断言した。
 
 見事な斬り捨て方に、志穂はおろか菜留ですら驚きを覚える。
 
「彼は自分の行動が正しいと思っていた、いや正しいと信じていたんだ。誰が何を言っても、耳を貸すことはなかっただろう」
「そうっすか」
 
 納得しつつも、表情は晴れない。
 それは志穂や菜留も同じだった。
 
 そんな三人を見て、沙々子は微笑を作った。
 
「そんな暗い顔をするな。私達はぎりぎりで間に合ったのだ。彼を殺人鬼にはしなかったし、彼女を殺人鬼の妹にもさせなかった。胸を張って誇れる結果だ」
「そうっすよね。俺達みたいな普通の高校生なら十分っすよね」
「いやいや。本当に大した物でしたよ。本来なら大人である我々が対処すべきことだったんですから」
 
 いきなり飛び込んできた声に顔を向けた。
 
 校長の西中嶋 典敏だった。
 黒いスーツに献花用の花を手にしている。
 
 四人が慌てて礼をする。
 
「それにしても姫堂くんには見事に騙されました。私を狙っているのは生徒。絶対に説得できるので警察への通報するのは待っていて欲しい。そう言ってましたよね」
 
 じっとりとした目で見つめられ、沙々子は思わず顔を伏せた。
 
「それについては警察の方にも、こってり怒られました。反省しています」
「なら、いいのですが。今後、こんなことをしないよう約束してくれますか?」
「それは、その」
「約束してくれますね?」
 
 やや言い方を強めた。しかし沙々子は同意しようとしない。
 
「校長先生、聞きたいことがあるんすけど」
 
 司が唐突に割り込んだ。
 
「文郷くんでしたね。少し待っていただけますか。今は……」
「校長先生は、よくここに来られるんすよね?」
 
 半ば決め付けた聞き方に、典敏が続きを飲み込んだ。
 
「いやね。ちぃ姉の墓っていつも手入れが行き届いてるんすよね。ずっと秀直さんだって思ってたんすけど。どうも違うみたいだし」
「できるだけ時間を作って来るようにしています。永原くんの事故については、私にも責任があります。無論、こんなことで罪滅ぼしになるとは思っていませんが」
「いえ。ちぃ姉も喜んでいると思います。寂しいのが苦手な人なんすよね」
「そうでしたね。とても明るく責任感の強い子でした」
「あの、前から気になっていたんすけど。いいっすか?」
 
 司がいつにない真剣な様子で訪ねる。
 
「なんでしょう?」
「あの日、先生達はちぃ姉を止めたんじゃないっすか? 無灯火じゃ危険だって」
 
 その問いに典敏の表情が強張った。
 
「閉店までに合わなかったから、注意を無視して自転車を使ったんじゃないかなって」
「なかなか難しい質問ですが」
 
 ふうっと息をついた。
 
「あの事故については、いくつもの不幸な偶然が重なりすぎました。誰が悪かったということはありませんよ」
「そうっすよね。それでいいんすよね」
 
 司は追及を止めた。
 典敏の言う通り、少しの不運が集まって起こった事故だった。
 それでいい。
 
「じゃあ、俺達そろそろ行きます」
 
 最後に四人全員で一礼して、帰路につく。
 
「さて、これからどうしましょうか?」
 
 霊園を出て、菜留が口にした。重い空気を少しでも軽くしたいと思ってのことだ。
 
「そうだな。折角だし、何か甘い物でも食べにいくというのはどうだ?」
「あ、賛成です。モールのクレープ屋さんに行ってみませんか?」
 
 沙々子の提案に志穂が意見を添えた。
 
「知ってる知ってる。納豆クレープがある店だよな」
「もう、そんなの食べるわけないでしょ。ね、姫堂先輩」
「無論だ。私は納豆が苦手だ」
 
 やはり少しずれた答えが返ってくる。
 
「そう言えば高井田もモールに行くと行っていたな。折角だし、彼女も呼んでやろう」
「あ、いいっすね。あの人、豪快に食べるから見てて面白いんですよね」
「でも、あんな細い身体のどこに入るのか。謎ですよね」
 
 菜留の疑問に、志穂と司は同意を表して頷く。
 しかし、沙々子だけは合点がいかないのか、かくんと首を傾げた。
 
「姫先輩、どうしたんです?」
「何を言っているんだ、菜留くん。食べた物は胃袋に入るに決まっているじゃないか」
 
 沙々子の真っ当な意見を聞いて、三人が噴き出す。
 
「な、なんだ? なにがそんなに面白いんだ?」
 
 沙々子は当惑を深めるだけだった。
 

                                  <Fin>
 


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