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日常をまったり紡ぐ近未来的日記..紅子の世界全壊です!       週末はオリジナルラノベの更新もしています


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紅子 縁璃

Author:紅子 縁璃
座右の銘は常に笑顔!
極度の飽き性で移り気..
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恋するメドゥサ -16-
 
 

                       * * *
 
 
「むふぅぅぅ、淡白な味が逆に厳しいよ」
 
 四つめの包み紙を、くしゃくしゃと丸めながら智が漏らした。
 
 ポテトも七割近くが消えている。なかなかの健啖ぶりだ。
 
「お腹も辛くなってきたし」
 
 そう言いながら、スカートのファスナーを緩めた。
 途端に沙々子が厳しく指摘する。
 
「高井田、はしたない真似をするな」
「だってさ、お腹が辛くて」
「それとこれとは論点が違う。そもそも君には恥じらいが欠けているところがある。この前も半裸で人を迎えたり……」
「ちょっと、変なこと言わないでよ」
 
 慌てて視線を周囲に走らせる。どうやら見知った顔はいない。
 
「変な噂が広がったら、ますます彼氏ができなくなるじゃん」
「もっと根本的な理由があると思うがな」
「なにそれ。ま、否定はしないけどさ。でヒメボン、後輩くんとは上手くいってる?」
「そこだ。ひとつ問題が発生した」
 
 沙々子が渋い表情になる。
 
「彼も成績を上げたらしくてな。礼をしたいということで、映画に誘われた」
「なにぃ!」
 
 思わず椅子を蹴ってしまう。
 
「なによそれ! 私は男友達すらいないってのに! この裏切り者! 恨み日記に書いて毎晩音読してやるわよ!」
「落ち着け、高井田」
 
 呆れ全開の反応に、頬を膨らませつつ腰を戻す。
 
「適当にのってくれればいいのに。っていうか、何のお礼? 勉強見てあげる余裕とかなかったでしょ」
「良く解らないのだが、私のお陰で頑張れたと言っていた」
「その子って、妄想を力に換えるタイプの戦士なの?」
「なんだそれは?」
「いや、こっちの話。で、それに何の問題があるっていうの?」
「私はこの誘いを受けるべきなんだろうか?」
 
 智がカクンと首を傾げる。
 
「へ? なんで? どこに迷うポイントがあんの?」
「考えてもみたまえ。私と菜留くんが会ったのは半月前なんだぞ。言わば、まだまだ浅い関係だ。そんな相手からの誘いを簡単に受けるのはどうだろう?」
「どうだろうって言われてもさ」
「軽い女と思われてしまうのではないだろうか?」
「えっと、本気で言ってる……んだよね」
 
 溜息をつきながら、三つめのジュースをストローで啜る。
 じゅじゅじゅっとはしたない音が上がった。
 
「ヒメボンさ、時々時代に合わないこというよね。ジュラ紀的思考っていうか、むしろ白亜紀的思考レベルの古風さだよ」
「何を言いたいのか理解に苦しむところではあるが、ジュラ紀と白亜紀ではジュラ紀の方が過去だ。白亜紀はおおよそ一億四五五〇万年前から六五五〇万年前。ジュラ紀は約二億年くらい前から……」
「あぁ、もう解ったから」
 
 思わず遮った。
 
「ヒメボンって、ホントに下らないこと知ってるよね」
「部活の影響だ。ウマ研はどうしても、過去の時代についての言及が出てくるのでな」
「それはどうでもいいけどさ。で、ヒメボンとしてはどうなの? 映画行きたくないんでしょ? じゃあ、すっぱりと断ったらいいじゃん」
「行きたくないなんて言っていない!」
 
 つい大きくなった声に焦り、「その、折角の礼を無下に断るのも悪いしな」と平静を装って継ぎ足す。
 
 そんな悪友の態度に、智はにんまりしつつ五つ目のバーガーを齧る。
 
「むふぅん。なんか俄然飯が美味くなってきたね。ヒメボンがいいって思ってるんなら、行ってあげるべきだよ」
「そこまで言うなら仕方ないな。君の顔を立てることも含めて行くとしよう。」
「まったく。素直にさ、愛しの彼から映画に誘われたの超うれすぅぃとか言えばいいのに。って、いやいや冗談だって。そんな怖い目で睨まないでってば。ところでさ」
 
 バーガーの残りを口に押し込む。
 
「どんな映画観んの? 今、上映してるのだと、やっぱあれだよね。ハリウッドの恋愛物。でも、私的にはアメコミヒーローのがいいかな。アクション好きなんだよ。特にアメリカのはね。下手な駆け引きとかなしでさ。でっかい拳骨で殴り合いでしょ」
 
 好みの映画観を述べる智に、沙々子はエンタメ雑誌を開いた。
 
「この映画だ」
「え、これって」
 
 思わず絶句。
 
 沙々子が指し示していたのは、『魔法少女戦隊ミルキィ・キッス。~進めみんなの夢列車~』。
 女児向けアニメの劇場版だ。
 
「えっと、その、なんだね」
 
 数秒を掛けて衝撃から立ち直った智が、ぎこちない笑みを作る。
 
「後輩くんってさ。そっち方面の人なの?」
「ん、どっち方面だ?」
「なんていうか。二次元的な人」
「何を言っているんだ、高井田。この世界は三次元だろう」
「いや、まあ、そうなんだけどさ」
 
 困った風に頭を掻く。
 
「ヒメボンさ。ぶっちゃけだよ。この映画って言われた時、どう思った?」
「正直なところ、少し戸惑ったのは事実だ」
 
 少し間を取って、続ける。
 
「私は小さい頃、あまりテレビを見せてもらえなかった。娯楽性の高い番組は特にな。だから、子供の頃は、こういう番組が見たかったんだ。きっと菜留くんは、そんな私を気遣って、チョイスしてくれたんだろう」
 
 頬に朱を浮かべながら話すのを見て、智は否定的な意見を述べるのを止めた。
 真意はともかく、本人達が幸せなら万事問題ない。
 
「でさ、いつ行く予定なの?」
「今日中に返事をして。明後日の三日に行く予定だ」
「明日、学校から帰ったら服とか選ばないとね。いいなぁ、幸せ者め」
「服なんてこの制服でいいだろう」
 
 その言葉に智は目を丸くする。
 
「なんで! デートなんだよ! どうして制服なのさ!」
「で、デートだと?」
 
 途端に沙々子の首までが真っ赤になった。
 
「ち、違う。違うぞ。これは、そのお礼であって、そういうことでは。そもそも私達はまだ高校生で……」
「誰がどう見てもデートでしょっが! それをいつも通り制服なんて、デートを舐めてるとしか思えないよ! 私なんて来るべきその日に向けて、虎視眈々と準備してるってのにさ。絶対に許せない!」
 
 バンバンとテーブルを叩いて力説する。
 
「しかし、しかしだな」
「なによ!」
「どんな服を着ていけばいいとか、全然解らないのだ! 仕方ないだろう!」
 
 負けずとテーブルを叩いて反論する沙々子に、智は妙に納得した。
 
「そういうことか」
「そういうことだ。制服というのは無難な選択だ」
「もう、ヒメボンは可愛いなぁ。よし、この私に任せなさい。可愛い服を貸してあげるから」
 
 ポテトの最後のひと摘まみ頬張りながら提案する。
 
「それは遠慮しよう」
「どうしてよ。私の好意は要らないっていうの」
「いや、そういう訳ではないが、その、なんだ」
「理由があるなら、ハッキリ言えばいいでしょ」
「つまりだな。なんというか、物理的な問題があるというか」
「全然解んない。私とヒメボンってさ、遠慮なく物を言える関係じゃなかったの。少なくとも私はそう思ってたのに」
「正直なところ言いたくないのだ。君を傷付けることになるんじゃないかと」
「なによ。変に気を遣われる方が、よっぽど傷つくっての」
 
 ぶうっと頬を膨らます智を見て、沙々子は困った風に告げた。
 
「なら、約束してくれ。絶対に怒ったりしないと」
「いいわよ、約束する」
「では、ハッキリと言おう」
 
 ここで一拍開けた。
 覚悟を決める間を取ったのだ。
 
「君の服は苦しいのだ。その、胸が」
 
 その言葉に智の視線が移動する。沙々子の立派に膨らんだ胸元に。

「悪かったわね! どうせ私の乳は小さいわよ!」
 
 直後、魂の叫びが店内に響いた。
 
 

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