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日常をまったり紡ぐ近未来的日記..紅子の世界全壊です!       週末はオリジナルラノベの更新もしています


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紅子 縁璃

Author:紅子 縁璃
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恋するメドゥサ -07-
恋するメドゥサ -07-
 
 
「君にとってあのストラップは大切な物だ」
「どうして言い切れるんですか?」
「スマホは最新のモデルだった。最近、買い換えた物だろう。それに比べてあのストラップはとても古かった。古いストラップを新しいスマホに付ける理由はひとつしかない。特別な思い入れのあるということだ」

 あのストラップは、菜留が小学生の頃に大好きだったロボットアニメのキャラクター。
 近所のガチャポンでダブって出た物を菜留がくれたのだ。
 本人はすっかり忘れているが、菜留から始めてもらったプレゼント。
 ずっと肌身離さず持っている。
 
「この学校は広い。ストラップくらいの大きさの物を隠されたら、見つけられるはずがない。凝った場所に隠す必要もない。どこかの教室に投げ込まれるだけでお手上げだ」
 
 少し大袈裟に両手を広げて見せる。
 
「しかし、ここに条件をひとつ加えると状況は変わる。大切にしている物、紛失することで大きな損失をもたらす物。これを隠す物に指定するとどうなるか。適当な教室に放り込むなんてマネはできないだろう。自分が目の届く範囲に隠そうとするものだ」
 
 志穂が頷いて続きを促す。
 
「広いと思える学校であっても、個人の目が届く範囲は狭い。君であれば、自分の教室。陸上部の部室。後は部活で出入りする体育用具倉庫くらいだろう。ほら、随分と範囲が絞られた」
「確かに候補は減りました。でも、どこも違う場所です。今回の答えじゃありません」
「そうだな。まず、今の候補から教室と部室は消そう。理由は解るな?」
「理由は、人がいるからです」
「そう、放課後の教室や部室に人がいないとは限らない。少なくとも人が出入りする可能性はある。もしストラップを隠しているところを見られたら。それを私に聞きこまれたら。いや、それ以前に下らない悪戯心を起されたら。そう考えると隠せるはずがない」
 
 ここで一呼吸開けた。
 志穂から反論がないのを確認して先に進む。
 
「次に体育用具倉庫だ。ここには人が立ち入る可能性が低い。だが、それ故に怖い。偶然入った誰かがストラップを見つけたら、きっとゴミとして捨てられてしまう。その不安が拭えない」
 
 図星だった。
 思考を見透かしたかのようだ。
 
「大切な物を見つかり難い場所に隠すという行動が、逆に不安を掻き立てる。自分が離れた隙に消えてしまうんじゃないか、と思い込んでしまう。自分の心が、自分自身を追い詰めていくのだ」
「疑心暗鬼、ですね」
「そうだ。そして追い詰められた君は、あるアイデアに辿り着いた。隠せる場所がないなら……」
「参りました。私の負けです」
 
 大きく重い息を吐く。
 顔を上げてぎこちない笑みを作った。
 
「はぁ、勝てると思ったんだけど。こんなことなら、やっぱ短距離走にしとけば良かったな。全部、先輩の推理通りですよ」
 
 できる限り明るい声で告げ、スカートのポケット手を入れる。
 そこで。
 
「待ちたまえ。その前に少し話したいことがある」
「話したいことですか?」
「君の気持ちは解っているつもりだ」
「え?」
 
 呆気にとられる志穂から、沙々子はバツが悪そうに視線を逸らした。
 
「私、姫堂 沙々子と言う人間は、すこぶる評判が悪い。この目つきの悪さと、生来の内気な性格が災いして、色々と誤解を招いているようだ」
「内気な性格、ですか」
「そうだ」
「はあ、そうなんですか」
「私としてはそんな誤解を訂正する気もなかった。私は姫堂 剛憲の孫だ。何を訴えたところで、斜めから見られるだろう。下手をすれば恫喝とも捉えられる」

 志穂は否定できなかった。
 他ならぬ志穂自身もその誤解を信じ込んでいたのだ。
 
「時折、自分の正義に反する行動を目にすれば、注意を促すこともあったが」
「睨みつけるんですか?」
「注意をする際に、へらへら笑ってする訳にもいくまい」
「なんか色々と納得できました」
 
 注意された側の屈折した反発が積み重なって、噂に繋がったのだろう。
 
「そんな私が部長を務めるクラブだ。君が菜留くんの身を案じるのは、十二分に理解できる。だが、安心してくれたまえ。決して、菜留くんの迷惑になるような真似はしない」
「いや、あの」
 
 正直、志穂は困った。
 沙々子は志穂の行動を善意から出た物だと信じているようだ。
 その本意が嫉妬心と独占欲だとは言えるはずがない。
 
「解りました。なんか、私も先輩のことを誤解してた所がありますし」
「そうか、良かった」
 
 ふうっと安堵の息をつく沙々子。
 
 その表情からは数分前の険しさが消えていた。
 奇妙にあちこちがカールした髪と異常にきつい目つきを除けば、同性の志穂にとっては羨ましいほどの美人だ。
 
「ところで、いくつか質問があるんですけど。もし、私がこのストラップみたいに、大事な物を持ってなかったらどうするつもりだったんですか?」
「簡単だ。私から大事な物を提供する」
 
 首元に手を入れると、お守り袋が出てきた。首から提げるタイプの物だ。
 慣れた手つきで中身、菊の紋章が刻まれた金色のコインを取り出す。
 
「なんです、それ?」
「十万円金貨だ。意外かもしれないが、これ一枚で十万円分の価値がある」
「じゅ、じゅうま……」
 
 絶句する志穂の方に指先で弾いた。
 
「ちょっと、ちょっと!」
 
 志穂が慌ててキャッチ。落とさなかった事に心底ほっとする。
 
「なくしたら弁償だ。と言い含めてしまえば、適当に隠すことなんてできないだろう」
「なんか卑怯な感じがする」
「ルールを提案したのは君だ。私はルールを好ましい方向に使っているに過ぎない」
「じゃあ、私が部室とか教室とか。誰もいないのを確認して、絶対安全だと思って隠したらどうするんです?」
「私は探し始める前に半分時間を使った。君はその間、一度も何かを気にするような素振りを見せなかった。つまり部室にいても目に届く範囲に隠しているのが解る」
「あの時間も全部計算して使ってたってわけですか」
「そういうことだ」
 
 事も無げに答える沙々子に、志穂は内心舌を巻いた。
 この手の勝負で勝てる相手ではなかったのだ。
 
「他にあるかね」
「いえ、別に。もういいです」
「しかし、菜留くんは幸せだな。これほど心配してくれる友人がいるなんて」
 
 ぼそりとこぼした一言に、志穂が笑みを浮かべた。
 
「でも、先輩って変なところで抜けてますね」
「それは誤解だな。私は常に物事を注意深く見る癖をつけている。千里眼というほどではないが、多くのことを知る術も持っている」
「でも、近いところはイマイチ見えてないと思いますよ」
 
 真意が理解できず当惑する沙々子。
 そんな様子に志穂はちょっと偉そうに胸を張った。
 
「先輩、忠告しておいてあげますけど。勝負ってのはヨーイドンで始まるとは限らないんですよ。知らない間に始まって、知らない間に負けてるってのもあるんです」
「確かに、そうかもしれないが」
「次の勝負は絶対に負けませんから。覚悟しておいてください」
「ん? どういう意味だ?」
「それは内緒です。私にフェア精神なんてないんです。有利な点があったら、そのまま利用します」
「勝ちに徹するか、それは美徳でもあるな」
 
 妙に納得する沙々子。
 
「じゃあ、戻りましょうか。負けちゃったのは事実だし。ちゃんとみんなに伝えないと」
 
 妙に晴れ晴れとした表情で志穂は歩き出す。それに半歩遅れて沙々子が続いた。
 
 
                       * * *
 
 
「自分の部屋よ。そろそろ寝ようかなって思ってたとこ。で、なんの用?」
 
 携帯を耳に当て、いつもの薄っぺらい調子で尋ねた。
 
「へぇ。その話、もう聞いたんだ。ま、当然ってこと。アタシ的には期待してたんだけどな。今日の志穂っちは、かなりキテたから。でも、ちょこっと仕込み過ぎ、あんなに走って帰って来たら、逆に近くにあるって言ってるようなもんだし。アタシでも簡単に勝てるレベルだよ」
 
 早口で告げると、向こうの話を聞く。
 
「あはは。そうだね。勝負ってのは、やってみないと解んないけど。ぶっちゃけ、戦いたくない相手だよ。ん? それどういう意味?」
 
 やや声に不機嫌が混じる。
 
「解ってないわね。姫堂の千里眼ってのは、誇張表現じゃないんだって。マジでヤヴァいんだって。え、なに?」
 
 相手の言葉に、少し思考を巡らせた。
 
「ムリ。姫堂先輩って自分の良心に重きを置いてるから。不器用な正義の味方って性格してんの。だから、人を殺すとか復讐とかには、拒否反応があると思うよ。はぁ?」

 呆れ全開で間抜けた声がこぼれた。
 
「それこそムリ。っていうかさ、アタシね、警戒されてんのよ。気付いてるみたいなの。石膏像を壊したが、わざとだって。なに? はは、やってみればいいんじゃない? 孫を殺された姫堂 剛憲が、どんな報復すんのか興味深いしさ。いやいや、冗談だって。で、どうんすんの?」
 
 そこから聞き役に回り、消極的な肯定を何度か返した。
 
「そのくらいなら手伝ってあげてもいいけど。かなり危ない橋渡ることになんのよね。どうしよっかな。全国コンクールでトップとれたら考えてあげてもいいかな。みたいな? 違うって。これは正当なリクエスト。っていうか、アタシみたいな可愛い子のオネダリは叶えてあげようと思わない?」
 
 にんまりと意地の悪い笑みを作る。
 
「あはは、そうそう。世の中はギブアンドテイクで成り立ってるってわけ。いいわ、月末に仕掛けてあげるから、準備はヨロシクね。はいはい、じゃあ、まったね」
 
 通話を終えて、大きく息をついた。
 
「にしても、女々しい男ね。いつまでも死んだ人間なんかにこだわってさ。バカじゃないのって感じ。ま、でも、これで次のコンクールも安泰っぽいし。アタシ的には悪くない展開ね」
 



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