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日常をまったり紡ぐ近未来的日記..紅子の世界全壊です!       週末はオリジナルラノベの更新もしています


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紅子 縁璃

Author:紅子 縁璃
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恋するメドゥサ -06-
恋するメドゥサ -06-
 
 
「先輩、なんのマネですか。まさか、あれだけもったいぶっておいて、何もせずに降参ですか?」
「この広い校内、闇雲に探しても見つけられる可能性はないだろう。君のストラップがどこに隠されているか。動くのはそれを明らかにしてからだ」
 
 志穂の問いに沙々子はそう答える。
 
「ところで、菜留くん。ストラップがどこに隠されているか。参考までに君の意見を聞かせてくれないか?」
「僕のですか?」
「ちょっと待って。他人にアドバイスを求めるなんて反則じゃないの」
 
 訴える志穂に真希乃は大きく息をついた。
 
「志穂っち。今さ、アンタの好感度がうなぎ登りに下がってるよ」
「なにそれ。意味解んないんだけど」
「とにかく、ルールには他人のアドバイスを聞いちゃダメって定義はないし。審判としは問題なくね? って思うわけ」
「でも、それってさ……」
「チャンスがあれば、少しでも時間を稼ぐ。君の勝ちに徹する姿勢は評価できるな」
「別にそんなこと考えてません」
 
 図星を突かれて、志穂の表情が少し強張る。
 
「まあいい。では続きだ。菜留くん、君ならどう考える?」
「えっと、そうですね」
 
 腕を組んで思考を巡らす。
 断片的な情報を繋ぎ合わせ、正解を導き出す。それは自分が憧れる名探偵の領域だ。
 
「物を隠そうとすれば、人目につかない場所というのが第一の条件になります。次に志穂は陸上部。体力も脚力も恵まれている。その志穂が、あんなに疲れていた点を考えると、かなりの距離を走らなければいけなかったことになります」
「なるほど」
「しかし、志穂は昼休みに隠し場所は決めてあると言ってました」
「ちょっと待って! 先輩が知らないはずの情報を話すなんてルール違反よ! フェアじゃない!」
「これは聞き込みとみなしてセーフ判定ね。ぶっちゃけさ、妄想探偵菜留っちの推理ショーも楽しいし。ささ、菜留っち、続けて続けて」
 
 妄想探偵の肩書きに、やや不満そうな顔になったが、気を取り直して話を進める。
 
「隠す場所が決めてあった場合、走る必要はありません。校舎の隅でも三十分あれば歩いて往復できます。となると、隠し場所に行く前に走る必要があったんだと思います」
「それはどういう意味かな?」
 
 沙々子の問いに菜留はにんまりと笑みを見せた。
 直接答えず、少し回り道をする。
 
「ここで四つ目のポイント。志穂の最初の確認です。彼女は敷地内であれば、と確認していました。普通、校内と定義されれば校舎内を考えます。逆に言えば、校舎の中でなければルール違反と取りかねられない。これに釘を刺す意味で確認したんです。ここまで言えば、もう解りますよね」
 
 と、ここで間を空けた。気分は既に探偵物語の主人公だ。
 
「志穂が隠し場所とした場所は、立ち入り許可の必要な場所だった。でも、その許可を出す先生が職員室にいなかった。だから探して校内を走り回ったんです。普段立ち入り禁止で、教師の許可がいる場所。そして厳密に校舎内と言えない場所。つまり、その場所とは!」
「あ、屋上だね」
 
 菜留がぐっと力んだ瞬間に、真希乃が手を打った。
 
 各校舎の屋上は原則的に立ち入り禁止。通常は施錠されている。
 しかし、理由があれば、鍵を借りて入る事ができる。
 
「うん。そうだよ」
 
 見せ場をあっさり蹴られて、菜留はもう泣きそうになってしまう。
 
「あ、ごめん。つい。あれだよ。うん、まあ、なんていうか。ドンマイ!」
 
 フォローする真希乃だったが、菜留の表情は晴れない。
 仕方なく。
 
「えっと、姫堂先輩。そんな感じだけど、いい線いってると思わね?」
「確かに誰もが納得できる答えだと言える。菜留くん、見事だな」
「はい。ありがとうございます」
 
 途端に菜留の顔が明るくなる。
 
 そんなやり取りに志穂は心底詰まらなそうに口を尖らせた。
 
「自分は考えないで菜留に解決させるなんて。こんなの絶対ルール違反だよ」
「まあまあ、怒らないって。まだ、見つかったわけじゃないんだから」
「だって、探したら直ぐに……」
 
 反射的に言い返して、慌てて口を噤んだ。
 顔を逸らして、知らんぷりを装う。
 
「さて、残り三十分だな。そろそろストラップを見つけにいくとしよう」
 
 沙々子が腰を上げた。
 
「菜留くんには留守番をお願いしたい。淀橋、君もここに残ってくれ。駒中くん、悪いが一緒に来てもらっていいか」
 

                       * * *
 
 
 二人、沙々子と志穂は美術準備室を出た。
 
「で、どの校舎に向かうんです? 屋上って言っても、四箇所ありますからね。まだ勝負がついたわけじゃないですよ」
 
 志穂の言葉に沙々子が小さく首を傾げた。
 
「なんです、その反応。どこの屋上にあるか解っているとでも言いたいんですか?」
「なるほど、そういうことか。安心したまえ。屋上までわざわざ無駄足を運ぶ気はない」
「ど、どういう意味ですか! それ!」
 
 動揺を隠そうと咄嗟に声を荒げる。
 
 そんな志穂を気にする様子も見せず、沙々子は踵を返した。
 そのまま歩き出す。
 
 仕方なく志穂もその後を追う。
 
「ちょっと、どこ行く気ですか? 逃げる気ですか?」
「菜留くんの話は、非常に面白かった」
 
 挑発を無視して、沙々子は唐突に切り出した。
 
「そして、彼の話まで利用しようする君には敬意すら覚える」
「私をバカにしてるんですか?」
「いや、そうではない。そのままの意味だ。君は今回の勝負に持てるだけの力を掛けてきた。どんなに卑怯と思われようが挫けず、勝利に向けて進もうとした。その純粋な心は素晴らしい」
 
 どう答えていいか解らず、志穂は強引に話題を変える。
 
「それよりどこに向かっているんですか? 教えてくれてもよくないですか?」
「南校舎に向かっている」
「ストラップはそこってわけですか?」
「いや、違う」
「なんです、それ。先輩、この勝負のルール解ってますよね?」
「私は君が隠したストラップを見つける。制限時間は一時間だ」
「解ってるんなら、真面目に探したらどうです?」
 
 そう言っている内に南校舎に到着した。
 
「先輩、どこに行く気ですか? このまま逃げ帰ろうって言うんじゃないでしょうね?」
 
 苛立ちの含んだ一言を投げつけるが、沙々子は立ち止まろうとすらしない。
 玄関まで進むと、下駄箱から靴を取り出す。
 
「ちょっと、無視しないで下さいよ」
 
 仕方なく靴を履き替えて追いかける。
 
「駒中くん、私は君に謝らなければいけないことがある」
「い、いきなりなんですか?」
「この勝負はフェアではなかった」
「なんです、それ。今更そんなこと言っても……」
 
 言葉が途切れる。
 自分達の進む先にあるのは通用門。つまり外だ。
 
「この勝負は私にとって非常に有利だった。それを隠して勝負に挑んだのはフェアではなかった」
 
 門を潜り外に出た沙々子が、志穂を振り返る。
 
 志穂の顔からはすっかり血の気が引いていた。
 健康的な唇も色を失い、小刻みに震えている。
 
「この勝負、私の勝ちだ」
 
 そんな志穂に、沙々子は静かに宣言した。
 
 
                       * * *
 
 
「どうして先輩の勝ちなんですか。勝負はまだついてません」
 
 その反論は余りに力ない。
 
「勝負を続けるなら、まず君にこの校門から外に出てもらうことを要求する。それでいいかな?」
 
 志穂の視線が落ちる。
 通用門のレール。学校と外との境界線になっているそれが、あまりに残酷に見えた。
 
「言っておくが、私が課したペナルティは守ってもらうぞ」
 
 志穂がぐっと唇を噛んだ。悔しさに満ちた声を絞り出す。
 
「いつ、解ったんですか?」
「最初からだ。君がストラップを隠すであろう場所は最初から解っていた」
「そんなの嘘です。嘘に決まってます」
「嘘ではない。だから、この勝負はフェアではないんだ」
「言ってる意味が解りません。私をからかっているんですか」
 
 今にもこぼれそうなくらい涙の溜まった目で睨みつける志穂に、沙々子は小さく息をついた。



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